ここで御書を拝したい。
大聖人の御在世、最愛の子どもを失うという悲しみを乗り越え、懸命に信仰を貫いていた夫妻がいた。この夫妻を大聖人は、最大に讃えられた。
「あなた方は、人々が皆、憎んでいる日蓮のことをふびんと思われて、このように、はるばると、山の中まで種々のものを送ってくださいました。それも、一度や二度のことではありません。これは、ただごとではない。ひとえに、釈迦仏が、あなた方の身に入り替わられたのでしょうか」(御書1397㌻、通解)
大聖人は、門下の信心の素晴らしさを、また、師匠を守る「弟子の戦い」を「ただごとではない」と讃嘆しておられる。よくよく銘記したい御文である。
戸田先生は叫ばれた。
「一番大事なのは、弟子である」
このとき、その場にいた者は、皆、シーンとして厳粛な空気が流れた。
さらに先生は言われた。
「弟子で未来が決定する。弟子が偉いから、師匠が仰がれるのだ」
先生の一番の急所の指導であった。
これが人生の真髄である。これが仏法の真髄である。
この戸田先生の師子吼を、私は、わが青年部に、そのまま贈り託したい。
「師匠」と「弟子」という仏法の厳粛な関係を明快にし、教えたのが創価学会である。師弟が仏法の縮図である。
慢心の人間には、この師弟が分からない。ゆえに、仏法が分からない。
どれほど、私が、戸田先生にお仕えしたか。
私は、もともと肺を患い、体が弱かった。
それを心配され、戸田先生は、「私の命を代わりにあげたい」と言ってくださった。
そして、私の義理の父母もいる前で、「大作は、三十まで生きられないだろう。残念だ。学会のために、苦しめてしまった。申し訳ない」と落涙された。そういう師弟であったのである。
-新時代第10回本部幹部会での名誉会長のスピーチ
(2007年9月12日聖教新聞掲載)
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